自閉症スペクトラムの子はこだわりが強いって言うけど、こだわりってどんなものなのか。
息子はASD(自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症)の特性を持っています。
幼いころから文字や数字に異常なほど興味を示すとか物を綺麗に並べたがるとか、そういったわかりやすいこだわりももちろんありましたが、うちの息子の場合、行動面においてのこだわりが強くあり、そのことで日常生活に支障をきたしていました。
こだわりこだわりって言いますが、、
こだわりという言葉は私にとって少し難しいと感じる言葉です。
もし「あなたのこだわりは何ですか?」と訊かれても私は容易には答えられない。
私にもどうしてもやりたい事や譲れないことならたくさんありますが、そのどこからどこまでがこだわりなのかわからないし。
医師が言うには、毎日この順番でこれをしないと気が済まないとか、この場所には必ずこれを置かないと落ち着かないとか、そういうものらしいのですが。。
というわけで、こだわりについての記事を書くのは私にとって難しい作業だったのですが、ASDの人のこだわりは、イマジネーション(想像力)の障害によって現れるものと言われているので、それと関係ありそうなことを意識して選んでみました。
なかには「それこだわりじゃないじゃん!」っていうのが混ざっているかもしれません。。
下記に、ASDの子のこだわりの一例としてこれまでの息子のこだわり行動をまとめてみます。
(年齢は目安です。)
自閉症スペクトラム息子のこだわり行動 年齢別まとめ
0歳
- こたつの下にもぐる
- CMが始まるとずっと見ている
1歳
- バスに夢中になった時期があり、『たのしいバス100点』という本に乗っている100台のバスをすべて覚える
- ↑の本を1日に何度も読む(読んでもらう)順番通りに一字一句間違えないで読まないと癇癪
- Tシャツのロゴのアルファベットを指さして「エス!」「ティー!」等と何度も言う(言わせる)
- 駐車場では車のナンバープレートの文字(漢字・ひらがな・数字)が気になり、地面に書いてある駐車場所の番号もすべて読んでからでないと次の行動に移れない
- 側溝に水が流れている場所でいつまでも中を覗いていたり石を落としたりしていて動かない
- 積み木で毎日同じ形をつくる(ピタゴラスイッチという文字、他にもロゴ等)
- 児童館に行ってもみんなのいる部屋へは入ったり出たりを繰り返して長くいない
2歳
- 手を洗った時などに服が少しでも濡れるとパニック
- 飲み物が一滴でもこぼれるとパニック
- エレベーターやエスカレーターがあるところでは必ず乗らないと気がすまない
- 公園に行っても遊具であまり遊ばないで道路との境界あたりをウロウロする
- 児童館では玄関や水道にいて部屋に入ろうとしない。活動に参加しようとせず、一人図書室で絵本を読んでいる
3歳
- 1歳のころからの日課である寝る前の絵本が絶対。読む前に力尽きて寝落ちした日には夜中に目を覚まして「まだ絵本読んでないよー!!」と絶叫するほど
- 飽きもせずに繰り返し同じDVDを観る
- お肉や麺類を食べなくなり偏食が始まる
- 食べ物の在り方が普段と違うと癇癪(割れた煎餅や折れたバナナなど明らかなものはだけでなく、ほんの少しの形の歪みも許せない)
- 食器やカトラリーがいつもと違うと拒否
- 普段着や幼稚園の制服の衣替えを嫌がる
- 日常生活の流れを変えられない(晩ご飯を食べてからお風呂に入る等)
- 着替えの時に順番が決まっていて、間違えたら泣きながらやり直し(スボンを履くのは最後等)
- 新しい洋服を拒否。1ヶ月くらいしてやっと着る
4歳
- 「今日はこっちの道から帰ろう☆」等と道順を決めていてその通りにしないと癇癪(同じ道を通りたい訳ではなく、自分が決めている道を通りたい)
- ドアを開けたい・階段を先に降りたい等、生活にまつわる細々としたことにこだわり、思い通りにできないと癇癪
- 「~って言って。」と決まった言葉を言うよう相手に要求する
- 好きなアニメのセリフをすべてのキャラクター分丸暗記していて再生するように喋り続ける
- 同じ靴ばかり履く。サイズアップしてもまた同じデザインと色の靴でないと嫌がる
- 幼稚園や習い事で他の子のお母さんに執着する(しつこく話しかける等)
- 幼稚園に来ている保護者の方の数を数える。お母さんたちが井戸端会議している周りをぐるぐる走り回る
5歳
- 「そうだ、今日は◯◯を作ろう☆」と晩御飯のメニューを勝手に決めてしまい、料理もしたがる。材料がないと言っても諦めない
- 全く突然に「あの和菓子屋さんのよもぎ団子を買うんだ。」等と言い出し、今すぐ行くと言ってきかない
- 入浴時に手がふやけるのが嫌で、浴槽に入る時もシャワーをかけるときも手だけは濡らさないようにしている
- 車に乗っている時、カーナビの地図の縮尺を変えるように指示してくる。速度や曲がる方向も指示
- 用事でたまに幼稚園のお迎えに自転車で行くと、園バスのルートと同じ道を通って帰りたがる
- こちらが無理だと言っていることに、あれやこれやと理由を作り自分の要求を通そうとして延々と話を続ける
こだわりは成長とともに薄れていくのか?
うちの息子の場合の話をします。
5歳の現在は、4歳までに比べてだいぶマイルドにはなってきていると感じます。
起きている時間の8割が癇癪という2~3歳の時に比べたら、日常生活も穏やかなものになりました。
バナナが折れてもあまり気にしなくなりましたし、新しい洋服は嬉しそうに着ています。(気に入らないデザインは年相応に嫌がりますが。笑)
全くこだわりがなくなったということはないですが、本人も「まあいいか」とおまじないのように言ってあとに引きずらなくなってきました。(調子が良い時期に限る)
ただ相変わらずなのは、発達検査でも指摘された思いの強さによるこだわり。
色んなことをやりたい子なんです。
〜やりたい。〜行きたい。〜食べたい。
それ自体はとても嬉しいことです。私が一番大事にしてあげたいと思っている部分です。
しかしその思いを貫こうとする頑固さが、時に本人や周りを苦しめます。
自分ひとりで決めたことを、周りの事情はおかまいなしに何が何でも貫こうとするんですよね。
「◯◯していい?」とか「◯◯しようよ」っていうのが少ないです。
「◯◯する!」と私たちに話してくれる時には既に息子のなかでの決定事項なんです。(たまに「〇〇していい?」と訊いてくる時でさえ)
だからそれが叶わない時、受け入れ難いんです。
多分、こう書いてもいまいちこだわりの強さが伝わらない気がするので、具体例を挙げますね。
例えば、
- 急にある料理を作ると思い立ち、家に材料がないことを知っても、どんなに時間が遅かろうが外が土砂降りの雨であろうが、材料をスーパーで買ってくればいいじゃないと言って諦めない。
- 私の体調が悪くても公園に行くと行ってきかない。その旨を話すと激昂し玄関から飛び出して行ってしまう。
など。
よく言えば好奇心旺盛で積極性があるんですけどね。
長所なので伸ばしてあげたい部分でもあり、ちょっとブレーキを学んでほしいところでもあります。
そもそもなぜ決定事項なのか? って考えてみたんですが、おそらくそれが想像力の障害ということなのだと思います。
代替が利かないのです。これは、私もASD特性を持つ人間なのでよくわかります。
今じゃなきゃダメだったり、それじゃなきゃダメだったりするのですよね。
それに加えて、気持ちの切り替えが苦手という特性や自他境界が曖昧という特性も関係していそうです。
でも、こういったこだわりについても最近変化があったのです。
こちらが丁寧に事情を話すと「…わかったよ(*´-`)」と折れてくれることが5回に1回くらいはあるようになってきました! これは年長になってからなので本当に最近です。
色々な場面の経験を積んでいったことで、想像力の面で苦手とする部分を経験と知識で補うことができるようになってきているのかもしれません。
先ほどの例で言えば
- 今日その料理が作れなくても、明日材料を買ってくれば料理できる。
- 今すぐに公園に行けなくても、また母の体調の良いときや父のいる時に行って遊べる。そのほうが安全に楽しく長い時間遊べる。
といった今できなくてもまた今度できるという見通しを持つことが、想像力ではなくこれまでの経験の積み重ねによりできるようになってきたのだと思います。
それが、こだわりがマイルドになってきた理由かなと感じます。
ASDの特性を持つ子には経験が大事、というのは実に理に適っていると思います。
どんなにハードで挫けそうでイライラしてしまう日々も、無駄ではなかったと思うとちょっと救われます。
(なるべくイライラしたくないですけどね…)
*
こだわりについて色々と書いてみましたが、こだわり自体は別に悪いものではないですよね。
ただ、日々の生活においてこだわり事項が多い場合、ひとつひとつのことに時間と労力が必要になります。
また、いつでもこだわりが通るとは限らないので、本人も辛くなるし、親や周りも疲弊していきます。
そして、本人は自分がそれにこだわっていることに気がついていない(自覚がない)場合が多いです。(息子の場合)
なので、本人に自覚してもらうのは一つの手立てではないかなと思います。
こんにちは。
家の子にも通じるところがあり、あるあると思いながら読ませてもらいました。
特に、~していい?と聞かれる事がなく、決定事項が多い、とゆうところ、共感できます。
つい先日も、園に迎えに行くと、「今日、お友だち呼んでいい?」と聞かれ、えー?今日?(予想外だったので散らかっていた。)とイマイチな反応をすると、えー!なんで?最近呼んでないじゃん‼と猛反論。そうこうしているうちに、勝手に声掛けてました。
こちらも、そこまでダメとハッキリと言わない場合は、ゴリ押しされて折れてしまう事が多いです((涙))。
後、一番に迎えに来てくれないとダメで、それが叶わないと酷い癇癪を起こすので、一番それが困ってます。
融通がきかない子って言ったらいいでしょうか。思いが強く、押し通そうとする。
でも、お友だちの前や、園ではまた、少し違う姿になってきたかな?と感じます。
スイ君は、どうですか?園でも自分の思いを通そうとしますか?
ねこざかなさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうそう…少しでもこちらが迷いを見せようものなら、ゴリ押しセールスマン並みに押し通そうとします〜。
かと言って、はっきり無理と伝えても引き下がらないし。
一番にお迎え…小さい妹さんもおられますし毎日は大変ですね。。お母さんの事情もあって、無理な日もあるっていうのわかってもらえるようになると助かりますね。
でも癇癪を起こしていても、息子さんも本当はちゃんと分かっている部分もあるのかもしれませんね! 必死に自分の気持ちと折り合いをつけようと頑張っているのかも。スイが年中の時に本当そんな感じで、5歳になったくらいから少しずつ癇癪が減っていったんです。癇癪を起こすのも実は自分の気持ちと折り合いをつける練習だったのかなぁなんて今振り返って思います。
そしてねこざかなさんが一番に迎えにけるように努力されていることも、きっと息子さんに愛情として伝わっている気がします。何年後か、もしくはずっと大きなられてからかもしれませんが、今を振り返って「お母さん、幼稚園の時ぼくの無理なお願いをきいてくれていたなあ」って気づいてくれる日がくるんだろうなぁって。
本人も親もこだわりに振り回されて疲れてしまうこともあるけれど、一歩一歩生きやすくなるように進んでいるんだと信じてます!
園での姿はスイも少し違います。幼稚園の先生に対しては妙に真面目というか…幼稚園でのルールは守らなきゃって思ってるみたいなので、、逆にそこで頑張りすぎて疲れが出たり、反動で家ではこだわり全開になってしまうという感じでした。同年代のお友達に対してもかなり気を遣っていると思います。
ただ、園ではない、お店の店員さんとかお友達のお母さんに対しては、相手を質問攻めにしたり自分の話をしつこく話してしまうのを切り上げさせるのが一苦労です。。
そういった意味では場所や人に応じて自分を調整しているってことでもあるんでしょうが、、やはりそういったこだわりの強さを感じるところではあります。
ねこざかなさんの息子さんも園では家庭とはまた違う姿になってきたのですね。またぜひお話聞かせてくださいね。