7月のある日、夏休み中の長男が言語相談を受けてきました。
言語聴覚士さんとの面談です。
久しぶりにきちんとした検査をしていただいて、参考になるアドバイスもいくつか貰えたので相談を受けてよかったです。
今回は面談の時の長男の様子について、備忘録も兼ねて書いておきたいと思います。
(次回はいただいたアドバイスについて書きます。)
言語相談を受けることになった経緯
長男は現在年長で、来年は小学校に入学します。
自閉症スペクトラムとADHDの診断を受けており、その特性ゆえに小学校でも色々なつまずきがあるだろうと予想されます。
そこで少し前に市のセンター主催の『就学に向けての学習会』に参加しました。
その時に「就学前に発達検査を受けておいた方がいいのか?」と質問したところ、発達検査ではなく、言語相談を受けることを勧められました。
というのも、前回の発達検査(新版K式)を受けてからまだ1年ほどしか経過していないので、今受けてもあまり意味がないだろう(変わってないだろう)と言われてしまったのです。
発達検査は待機者が多く常に混み合っているので、実際は大人の事情の部分が大半な気がしますけどね。
何年に1回しか受けられないというルールがあって、公的機関ということもあり、特別の事情がない限り対応してもらえないのだと思います。
そもそも私が長男の発達検査を希望した理由は、就学に向けて何かしらの助言をいただきたかったから。
一口に発達に心配がある子と言っても特性や性格はひとりひとり全然違ったりするので、全体の学習会もとても参考にはなったけど、それだけでは不十分に感じてしまいました。
全体の学習会だとどうしも個別のケースについては教えてもらえないので、現在の長男を知っていただいて、その上でアドバイスをいただける方法の一つが発達検査だと思ったのです。
厳密にいえば、ちゃんとした検査(評価)はしてくれなくてもいいから、1時間なり30分でもいいので長男の様子を見ていただいた上で個別に相談したかったのですね。
そんな理由で発達検査を希望したわけなのですが、検査を受けられないと知って落胆。。
そんな私を、センターの方は哀れに思ってくださったのでしょうか、、
長男のプロフィールや以前に受けた発達検査の所見を確認の上、今回の”言語相談を受ける”という提案をしてくださいました。
発達検査じゃなくて言語相談?
最初に言語相談を提案された時は、え? なぜ? と正直思いました。
長男は、発音も明瞭でよく喋り(喋り過ぎる)、特に言葉の遅れもなさそうだからです。
うちの長男が受けてもいいの??と驚いたんです。
ただ長男は言葉によるやりとりが一方的だったり、言い回しが独特だったり、意味をよく理解してない言葉をむやみに使ったりということはよくあります。
あと、雰囲気で喋ったり、自分で作った(?)言葉を使っていたりもします。
よく言ってるのが「けいじょうでそうじょうで…」とかですね。言われた方は??ってなりますよね。
そんな感じなので普段、長男と話をしていて、どこまで伝わっているのかな、と思う場面は多々あります。
わかっているようでわかってないかも。どこまでわかってるの??
その疑問は以前から感じていたことでもありました。
センターの職員さんによると、そのあたりのことについても言語聴覚士さんから参考になるアドバイスをいただけるだろうということで、私が思ってたよりも(この相談機関での)言語相談の範疇が広いことがわかりました。
言語相談を受けることは私の頭には全くなかったので、何事も自己判断せず相談してみることって大事だな…と思いました。
職員さんも、ルールを破らない形で、最大限柔軟に対応してくださったのかもしれません。
言語相談て何するの?
今回、長男が受けた言語相談の中身は以下の通りでした。
検査×3つ:1時間
相談&アドバイス:1時間
所見:後日郵送
すべて言語聴覚士の方が担当してくださいました。
始まるまでの様子
センターへは、次男を幼稚園に送ってから長男とふたりで向かいました。
センターに行くことは1週間以上前から伝えておいたのですが、当日センターへ向かっている時に長男が「センターで何するの?」と聞いてきたんですね。
え…私も、知らない。。返答に困りました。
おそらく検査は受けるだろうなと予想していたので「クイズとか…先生とお話ししたりとかするんじゃないかな?」と言いました。
(検査ってこどもに何て説明すれば分かり易いのでしょうね?)
今更ですが、、
具体的に何をするのか、事前に教えてもらえばよかったです;
おもちゃで遊べるか聞かれたので以前に訪れた時のように多分遊べると思うと伝えると、
長男は遊べる(かも)と聞いて安心したのか、それ以上は聞かれませんでした。
こういうぼんやりとした見通しでも大丈夫になってきたのかな?
あ、でも「お母さんは一緒?」とも聞かれたので「一緒だよ。」と言いました。「えー!? お母さんはいないでよ!」と嫌がられなかったのでほっとした。。(←よくある)
そうこうやりとりしているうちにセンターに到着しました。
前回センターに来たのがもう1年以上前。当時4歳だった長男は覚えてるかな? と思ったのですが、覚えていたっぽいです。
受付後も不安げな様子はなく、本棚を眺めて、
「何だかありきたりでつまらなそうな本ばかりだなぁ……。あ、これ面白そう!」
と地下鉄の本を手にとってました。
何かのセリフのコピーのような言い回しといい、変わり身の早さといい、いつもの様子でした(笑)
絵本を読み始めると、予約時間よりも少し早く言語聴覚士さん(以下、STさん)が現れて、長男と私に声をかけてくださいました。
「えー、もう来ちゃったの? 早すぎるよ。」みたいな事を長男は言ってて、いきなり失礼。
(↑まだ本を読みたかったんだと思う)
それから、お互いに簡単に挨拶と自己紹介をして、3人で検査室へ入りました。
入室するなり、おもちゃの入っているであろう棚を開けようとする長男。以前に来た時に棚の中におもちゃがあったことを覚えていたようです。
長男は「おもちゃで遊びたい。」それから「クレヨンと白い紙がないとお絵描きができない。両方(両面が)白い紙ないよ。困った。」ということをSTさんに訴えていました。
STさん「あとで遊べるよ。クレヨンと紙もあるから大丈夫。」
長男「じゃあ、今から何をするの?」
STさん「なぞなぞをするよ。なぞなぞが終わったら、おもちゃで遊んでいいよ。」
と、STさんはとても落ち着いたゆったりとした口調で、淡々と、かつはっきりとした発音でお話しされていたのが印象的でした。
句読点のところでしっかり間をとられていました。
長男はSTさんの言葉を聞いて納得したのか、すんなりと着席することができました。
(そうか、検査って“なぞなぞ”って言えばよかったんだね!)
検査開始
言語相談の時に受けた3つの検査での長男の様子について順に書いていきます。
ちなみに検査を始める前にSTさんから「お母さん、検査中は話しかけたり、答えを教えたり、頷いたりはしないでくださいね。」と念を押されました。
その時は「そもそもスイは私のことなんて目に入らないだろうからなぁ…。」と思ったのですが、意外なことに、検査中に長男は私の顔をチラチラ見てきたのです。しかも何度も。
分からない時とか、答えが合っているか不安な時とかだと思います。
1年前の発達検査の時には見られなかった姿でした。本当に長男はこの1年で変わったんだなぁ…と気づきました。
質問-応答関係検査
この検査は、日常的質問・なぞなぞ・仮定・類概念・語義説明・理由・説明・系列絵・物語の説明・文章の聴理解の10の課題から構成されています。
覚えているところだけ長男の様子を書いてみたいと思います。
日常的質問
最初は名前とか年齢とか幼稚園のクラスや先生の名前とか、日常的なことについての質問。
「おとうさんはどこ?」の質問にお父さんの職業について詳しく答え過ぎた(個人情報漏洩)り、
「どうやって来た?」の質問に「〇〇駅から△△駅を通過して、それからどこどこを通って~(以下略)」と詳細に答えていたり(←車で来たんだけど…)した以外は、的確な回答をしていました。
「お友達は誰?」にはいつも一緒に遊んでいる女の子の名前を言っていました。
なぞなぞ
「人を乗せて線路の上を走るものは何?」という問題に、「う~~~~~~ん。」と長らく悩んだ後、「色々あるんだよなぁ。新幹線、特急、在来線、モノレール…」と、思いつく限りの線路を走る乗り物を答えていました。
そこは多分ひとこと「電車」で済むのだと思うのですけど、スイにとってはそこは区別したいところなんでしょうね。
「美味しい飲物が通る細長いトンネルは何?」という問題には
「食道。」と答えていて、多分一般的な回答は”ストロー”なんじゃないかなと思うのですが、私も最初に思いついたのが食道だったので、親子だなぁと思ったりしました(笑)
仮定
「寒いときはどうする?」の質問に
「…傘をさす?」と自信なさげに答えていました。
こういう、本当に基本的なところであれ?っていう時があるんですよね。
「家が火事になったらどうする?」の質問には
「庭には2こ水道があるからホースで水をまけばよくて…、家の中は、、消火器がないからどうしよう。うーん、消火器がないんだよなぁ。。うーーーん。消防車呼ぶ?」
と答えていました。
多分、頭の中で考えてること全部声に出てますね(笑)
長男のそういうとこ好きなんです。
説明
『砂場でのトンネルの作り方』の説明は、私よりも上手に説明していたんじゃないかな。
「まず砂を集めて山を作って、シャベルで穴を掘っていって、次に反対側からも掘って、穴と穴が繋がったら完成!」
具体的に頭の中にイメージを持っていることを言葉に変換するのは得意そうだなぁと思いました。
それとは対照的に次の『かくれんぼの遊び方』の説明は
「もういいかいって言って、隠れて、見つかって、そうしたら次は鬼になる」
…って、主語が全くないぞ!!
砂山のトンネルのような目に見える物の説明は得意だけど、目に見えないものや人と人との関係性が重要になってくるような事柄についての説明は苦手なのかなと思いました。
系列絵
4コマ漫画がバラバラになったようなカードを時系列順に並べ、その絵についての質問に答える問題でした。
じっくり絵を見て答えていました。
物語
『桃太郎』のお話をするのですが、これは流暢に語ってましたね。
さすがにアレンジは加えてなかったです。(過去記事参照)
文章の聴理解
「まみちゃんはおやつにアイスを食べました。」というような文章をSTさんが話すのを聞いて、何を食べたか? 誰が食べたか? というような質問に答えます。
4問目のらくだの問題が割と長い文章なので難しく感じたのですけど、長男は答えていました。
耳で聞いた文章についても意外と理解しているのかもしません。
私は聞いているうちにあちこち思考が飛んでしまって追いつくのがやっとでした。らくだのこぶに何が入っているか知って「へー」って勉強になりました。
STさんからは検査後、
STさん
スイ君は「冗長」ですね。
と言われました。本当にまさにその通り。質問に対する答え以外の、自分の話したい内容を付け加える。
その上、話があちこちに飛び途切れずにずっと喋ってる!!
誰しも多少はあることだと思うのですが、長男の場合その度合いが激しめです。
全体の検査結果は生活年齢+1歳くらいだったのですが、例のかくれんぼの課題があった『説明』だけ生活年齢よりも低い5歳~5歳前半になっていました。
それに対し『なぞなぞ』は7歳後半~8歳だったので、そこだけ見ると2〜3歳分の凸凹があることになります。
そういったところも長男がコミュニケーションや会話で難しさを感じる部分なのかもしれません。
PVT-R 絵画語い発達検査
こちらの検査は、1ページにつき4つの絵が描かれていて、その中から検査者が言う単語に最も関係がありそうな絵を1つ選んで指差すというものでした。
理解語彙を見る検査のようです。
「わからない時はわからないと言っていいよ。」と言われていました。
長男は最初はわからない時に考え込んでいましたが、そういう時に再度STさんのほうからわからないと言ってもいいよと言われると「わからない。」と答えました。
そして3度目くらいには自分から「わからない。」と言えるようになっていました。
回答については、割と最初のほうのページで間違えたかと思えば、ページを進めた先の問題には正答していたりしていました。
「医師」「港」「浜辺」「読書」「礼儀」などという語彙も理解していることに驚きました。
しかし、そういった小学校低学年くらいで獲得する語彙はわかるのに、4〜5歳で獲得する語彙でわからないものがあったりして、STさんからも
STさん
語彙の獲得にばらつきがあり、会話で苦労しているかもしれませんね。
と言われました。
新版 構音検査
こちらは発音をみる検査のようです。
ですが予想通り長男は発音自体は全く問題なく、STさんはそこを見ていたわけじゃなかった。
STさん
掛け合いのタイミングがあわないのが少し気になります。
とおっしゃっていました。
この検査はSTさんの発音した音を長男が後に続いて真似て発音することの繰り返しなのですが、その発音する時のタイミングのことですね。
私の印象ではさくさく検査が進むなぁ~と感じていたのですが、一般的にはよりスムーズに掛け合いができるようです。
確かに、時々STさんとタイミングがかぶってしまっていました。
会話でタイミングがわからなかったり、人が話してる時に話してしまったりとか、そういうことが多いかもしれないとのことでした。
検査を終えて
約1時間の検査でしたが長男はよく頑張っていました。
途中で姿勢が崩れてきてSTさんに指摘されて座り直したり、そわそわと身体を動かしたり、しばしばSTさんの記録紙を覗きこんだりして落ちつかない様子もありましたが、
STさんの柔らかなお人柄もあり、全体的には割とリラックスして意欲的に取り組めていました。
検査の後は、おもちゃで遊んだりお絵描きしたり満喫していた長男でした。
おもちゃで遊んでいる間、STさんが別室で点数などを計算されていて、その結果と検査時の長男の様子をもとにいくつかのアドバイスをいただきました。
そのことは次回に書きたいと思います。
予定していた以上に長文になってしまいました。これでも後からだいぶ削ったんですが。。
私も冗長。大概にしたい。